家族を介護する日々の苦しみや哀しみ、喜びを五・七・五・七・七の言葉に託した「介護短歌」。自分の目で見、耳で聞き、肌で感じたことを素材にし、思いついたことを素直に表現した「介護短歌」は、NHKテレビや雑誌等で大きな反響を呼んでいます。
ここでは毎月一回、自らも介護の経験を持ち、介護短歌の火付け役となった安森敏隆さんがみなさんから投稿された「介護短歌」を紹介し、全国の介護家族の心を結びます。
[2007年2月の介護短歌]
安森敏隆です。
二月を迎え、京都の町のあちらこちにも梅の蕾がポツポツついてきました。この度、NHKふれあいホールギャラリーで「介護百人一首」のパネル展が1月29日(月)〜2月11日(日)まで開催されています。それにともなって2月3日(土)には、「ふれあいホール」で荒木由美子さんや遥 洋子さんらと公開録画をしてきます。「介護短歌」も段々と認められるようになってきました。大いに投稿してきてください。
【二月の優秀作品】
いま飲んで「薬飲まな」とまた言いし母を笑えぬ私も同じ
(評 介護の現場ではよくある話であるが、母の「薬飲まな」と言う言葉を入れ、さらには介護している自分をも、同じ目線でうたったところに味がある)
温き日や多摩川べりの車椅子すれ違いつつやわき会釈す
(評 日差しも段々柔らかく春の日差しに変わってきた。車椅子どうしの挨拶をうたって何とも良い歌になっている。)
またひとつ介護の春がやってきてミモザの蕾つぶらに育つ
(評「年々歳々花あい似たり、年々歳々花同じからず」と言う言葉があるが、今年もミモザの新しい蕾に出会われた喜びがよく出ている。)
《その他優秀作品》
六台のテレビは駅伝映せども見入る人なき病室の昼
隠居して二年つづきの喪の身にも友あまたより賀状の届く
バス待てばはるけく峰に赤み差し母住む施設(いえ)にも春は近づく
朱に染まる海邦(うみ)の向うに幸あらん生身を脱(ぬ)けて魂(たましい)よ翔べ
母上のメロンパン買いに街へ行く山に残月きりっと晴れて
排泄を人手にたよる羞恥心徐々に麻痺して母は安らぐ
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