家族を介護する日々の苦しみや哀しみ、喜びを五・七・五・七・七の言葉に託した「介護短歌」。自分の目で見、耳で聞き、肌で感じたことを素材にし、思いついたことを素直に表現した「介護短歌」は、NHKテレビや雑誌等で大きな反響を呼んでいます。
ここでは毎月一回、自らも介護の経験を持ち、介護短歌の火付け役となった安森敏隆さんがみなさんから投稿された「介護短歌」を紹介し、全国の介護家族の心を結びます。
[2007年1月の介護短歌]
安森敏隆です。
新しい年を迎えました。今年も宜しくお願い致します。「介護短歌」も、このところ大いに市民権を得て、俳優の荒木由美子さんや、歌人の道浦母都子さんや福島泰樹さん、聖路加病院の副院長の細谷亮太さんなどの共感を得て、福祉の世界や短歌の世界でも大いに認められるようになってきました。
介護の問題は、究極<いのち>の問題として、介護「する人」「される人」を慰藉し共に止揚(しよう)する<場>がもたれた時にこそ真の解決があるのではないか、と皆さんの「短歌」を選考しながら確信したことです。[PLC日本予防医学センター研究所」の英断による「介護短歌」の、このはじめての「ホームページ」への力強い応援に感謝します。
【一月の優秀作品】
介護する私自身も患者です病院通いに慣れるが悲し
(評 介護は、「する」「される」の相互関係によって成り立っている。「する」ことは「される」ことであり、「される」ことは、「する」ことでもある。)
年の瀬の退院直訴は却下され夕食一回拒否に出た父
(評 帰るべき故郷があり、帰るべき家があることは素晴らしいことである。「夕食一回拒否に出た父」の思い深い。)
吹雪く夜に息子はいない眠れない命の電話が私を起こす
(評 人は、究極は一人で生きていくしかないのかも知れない。そのとき、多くの人の善意によってなりたつ「命の電話」の尊とさをおもう。)
《その他優秀作品》
小夜ふけて母を見回る酔眼に中天高く満月懸かる
一日を無事生き抜いて床に就くこの平凡を病む子と祈る
気に入りのセーター出してといつになく微笑みかける母ぞうれしき
病室にポインセチアの花が咲き期待半ばのイブを迎える
一年の憂きこと暫時飲み流し介護に戻る眉月のイブ
母死して三七日の朝発見す幸せに笑む三十路の写真
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介護短歌の選評をされている安森教授の紹介は
⇒ 安森教授プロフィール
