家族を介護する日々の苦しみや哀しみ、喜びを五・七・五・七・七の言葉に託した「介護短歌」。自分の目で見、耳で聞き、肌で感じたことを素材にし、思いついたことを素直に表現した「介護短歌」は、NHKテレビや雑誌等で大きな反響を呼んでいます。
ここでは毎月一回、自らも介護の経験を持ち、介護短歌の火付け役となった安森敏隆さんがみなさんから投稿された「介護短歌」を紹介し、全国の介護家族の心を結びます。
[2006年10月の介護短歌]
安森敏隆です。
秋となりました。お知らせを一つ。私も関わっているNHK教育テレビ番組「福士ネットワークスペシャル」で「介護する」「介護される」などの介護体験のある方から介護短歌を募集しています。選者は、私の他、道浦母都子(歌人)、細谷亮太(聖路加病院小児科部長)、荒木由美(歌手)他がします。締切は、2006年10月20日必着(〒150−8328東京都渋谷区宇田川町41−1 NHKサービスセンター「NHK介護百人一首」係)で、葉書に三首(できたら歌へのコメントも)書いて、これからでも間に合いますので皆さんも送って下さい。そのうち一冊の本(冊子)になります。
【十月の優秀作品】
深夜二時六人病棟寝静まる遠くかすかに水漏れの音
(評 消灯されて寝静まっている午前二時、「水漏れの音」をきく一人の孤独で孤高の姿が一首の背後にシンとして浮かぶ)
理不尽な社会の規則三月ごと介護施設を転々とする
(評 介護制度も改良されているが、一方で「理不尽な社会の規則」が介護者を圧迫している。一人一人の「いのち」を守る制度にして行かねばならない。)
透き通る彼岸の朝の青空へ母は伸びして感謝と言いぬ
(評 「感謝」という言葉は何ともいい。生前、私の亡母も「ありがとう」「ありがとう」とよく言ったものだ。ここに<愛>の根源がある。)
《その他優秀作品》
特養の個室にギター持ち込んで母の十八番(おはこ)を引き出してみる
会えました月に一度の囲碁の会介護帰省がなかった二人
亡き祖母のいまわのきわに望みしはトコロテンひと口この貧し体に
稲を刈る庄内平野の真ん中をデイサービスの車が通る
気のきいた服が良いねと選ぶ母それも良いねとやがて着る身で
寝たきりの父を叱ってなんになる自責の念に今夜も眠れず
カタカタと雨戸を叩く秋の風息を潜めてこの家にふたり
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