家族を介護する日々の苦しみや哀しみ、喜びを五・七・五・七・七の言葉に託した「介護短歌」。自分の目で見、耳で聞き、肌で感じたことを素材にし、思いついたことを素直に表現した「介護短歌」は、NHKテレビや雑誌等で大きな反響を呼んでいます。
ここでは毎月一回、自らも介護の経験を持ち、介護短歌の火付け役となった安森敏隆さんがみなさんから投稿された「介護短歌」を紹介し、全国の介護家族の心を結びます。
[2006年4月の介護短歌]
安森敏隆です。
京都の川端通りのしだれ桜も咲き始めました。まもなく京都の桜も満開です。「介護短歌」の募集を始めて、ちょうど一年になります。少しずつ、だが着実に投稿してくださる方もふえてきました。また、この一年、どんな歌に出会えるか楽しみです。「いのちを見つめるー介護短歌」の連載エッセイを「NHK短歌」の月刊誌で、「5月号」から始めました。皆さんの歌も時々紹介してみたいと思いますので、こちらの方も見てください。
【四月の優秀作品】
あといくつ仰ぎ見れるや桜花 河津の里に車椅子押す
(評 桜の咲く季節になりました。「あといくつ」は、あと幾年長らえられるかの意だと思います。「命」をしっかり見つめた良い歌です。)
こんこんと眠れる夫の枕辺に黄水仙咲き春は来にけり
(評 「こんこんと眠れる夫」にとっても、季節は違えずやってくるのです。黄水仙が咲いて確実に春がやってきたのです。)
デイケアのバス待つ丘の中腹に朝日を浴びてミモザ花咲く
(評 「デイケアのバス待つ」家族にとっても、どこかで、誰かがミモザの花が咲くように応援してくれているのです。)
《その他優秀作品》
母が臥す病院前をバスで過ぐ今宵の介護を息子に託し
介護にて月イチ列車に飛び乗れば隣人たちは花見の相談
うすら陽に背を伸ばしおる亡母(はは)のごと背を陽にむけて干しておるなり
不自由な脚をものかは菜の花の畑にずんずん妻の歓声
春障子だれかと笑う妻の影介護の日々を健気に生きて
忍耐の八十余年であったろう母の執念新築図面
さびれても村いちばんの小料理屋フキミソうまし包みて母へ
安森師の薫育受けて始めたる介護短歌に花咲きかかる
父さんの入れ歯がうまく洗えない不器用なのだ手指も心も
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⇒ 安森教授プロフィール
