家族を介護する日々の苦しみや哀しみ、喜びを五・七・五・七・七の言葉に託した「介護短歌」。自分の目で見、耳で聞き、肌で感じたことを素材にし、思いついたことを素直に表現した「介護短歌」は、NHKテレビや雑誌等で大きな反響を呼んでいます。
ここでは毎月一回、自らも介護の経験を持ち、介護短歌の火付け役となった安森敏隆さんがみなさんから投稿された「介護短歌」を紹介し、全国の介護家族の心を結びます。
[2005年12月の介護短歌]
安森敏隆です。
京都は今、東福寺の紅葉が真っ盛りです。ひさしぶりに、稲荷参道から東福寺にむかって散歩してきました。帰りに、光明院に寄ってみるとこれまた紅葉が黄金に輝いていました。亡母を、車椅子に乗せ、毛布を膝にかけてよく散歩したことを思い出しました。「ああ、きれい!きれい!」と喜んでいる亡母の姿が浮かんできました。
【十二月の優秀作品】
熱々の茶の一杯が本日の介護の終わり私の時間
(評 一日の介護をし終え、やっと自分の時間を取り戻されたときの、疲労とともに湧き出る安堵感や満足感が、みごとにうたいこまれている。)
父のいた茶の間の横座に吾を据え熱燗捧ぐ母でありけり
(評 つねに、お父様の横に付き添って居られたお母様の様子が、作者の<目>を通してリアルに捉えられ、詠われている。)
疲れ果てし己を写す鏡にて寝息の義母を肩越しに見る
(評 介護に疲れた己の姿が<鏡>に映り、それをみごとに客観的にうたいこんでいる。これこそ、介護短歌の骨法。)
《その他優秀作品》
入院を安堵の日々とうた紡ぎカップ揺すらす親不孝者
赤カブと濃いお茶のほか何もなし何もなけれど母との三時
洗われてずんずん山なす大根を車椅子止め眺めいるなり
父母に守られているという気持ち苦楽を共にした証なり
また一枚「喪中につき」の葉書来て介護の闇の終わりを告げる
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⇒ 安森教授プロフィール
