家族を介護する日々の苦しみや哀しみ、喜びを五・七・五・七・七の言葉に託した「介護短歌」。自分の目で見、耳で聞き、肌で感じたことを素材にし、思いついたことを素直に表現した「介護短歌」は、NHKテレビや雑誌等で大きな反響を呼んでいます。
ここでは毎月一回、自らも介護の経験を持ち、介護短歌の火付け役となった安森敏隆さんがみなさんから投稿された「介護短歌」を紹介し、全国の介護家族の心を結びます。
[2005年7月の介護短歌]
安森敏隆です。
1400年近く続いてきた、57577の短歌も「介護短歌」と言うかたちで、21世紀に蘇ろうとしています。短歌は、もともと「命(いのち)」をつかまえ、それぞれが持っている「深い命」(斎藤茂吉は「深処の命」と言っている)を詠う形式です。日常生活の中の、喜びや、悲しみをそのまま57577の中に吐き出してください。明日への「命」が蘇ります。
【七月の優秀作品】
初七日を終えて都会に戻る日よ亡父の畑に百花きらめく
(評 亡き父が「百花」となって見送ってくれたのであろう。「亡父の畑に百花きらめく」がよい。)
病室の朝の挨拶36℃今日も笑顔で変わらぬ介護
(評 梅雨というのに、今年は何とも暑いことである。私は、何時も亡母の部屋の温度を28℃くらいに調整していた。)
雨音が屋根をたたいて踊るよう病む人静かに寝息をたてる
(評 雨音」と「寝息」が、みごとに響きあっている。「踊るよう」に作者の微妙な心が出ている。)
《その他優秀作品》
義母(はは)よはは大き口あけ寝ていたるあかごのごき顔にもどりて
ほの青く雨の切れ間に峰出でて呆けし母はアルバムを繰る
父の世話「することないか」と言う夫に思わず吾は両手を合わす
群馬ではラベンダーが盛りらし十勝ではひと月遅れの花を見て臥す
撮りためた携帯カメラの3コマになき父の顔リハビリの杖
一生を農に捧げし太い指いま病床で西瓜を思う
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介護短歌の選評をされている安森教授の紹介は
⇒ 安森教授プロフィール
