Dr.神津の健康倶楽部

これまでは、病気にかかったら病院に通う、薬を処方してもらう・・・と病気の治療が重要とされていました。しかし、原因のわからない病気は未だ多く存在し、病気の治療から予防へと注目は移り始めています。
病気を予防するには健康な生活を送ることが大切ですよね。
ここでは、「よりよく生きる」ために日々の生活を考えていきます。

[第23回 誤解しないで、卵の魅力]

「卵はコレステロールが高い」「体脂肪に溜まりやすい」
このような話を良く聞きます。
しかし、卵に対するこれらの評価は、実は誤りなのです。
今回は、卵の健康への効果のお話です。

■卵は高コレステロール

卵の栄養で真っ先に思いつくのが、高コレステロールでしょう。
Lサイズの卵1個(64g)に含まれるコレステロールは約267mgと言う話です。バターでは5gに10mgだそうですから、卵1個分の重さに計算すると128mgになります。
これだけの量のバターを一度に食べることはまずありません。でもこの比較だけだと、卵のコレステロールはバターの2倍以上ですから、コレステロールは高い、となります。
しかし最近の研究によると、卵を毎日食べても血中コレステロールは上昇しない、との報告が上がっています。

■卵はコレステロール値を上げない

コレステロールは小腸で吸収され、肝臓に運ばれます。肝臓から今度は血液流に乗り、全身に運ばれます。
使い切れなかったコレステロールは、体内を一巡してから肝臓に戻りますが、肝臓に戻れないコレステロール分が次第に血液中に蓄積されることで、長期的には動脈硬化の原因となるのです。
コレステロールが肝臓に戻るのを妨害する物質、それがミリスチン酸です。
卵には、このミリスチン酸がほとんど含まれていません。
また、コレステロールを下げる効果のある物質としてオレイン酸がありますが、卵にはこのオレイン酸も豊富に含まれています。
ですから、先に述べたように、毎日食べても血中コレステロールは上昇しないのです。

■ボケ予防にも期待あり?

卵にはコリンと言う物質が含まれています。
コリンは酵素反応により酢酸と化合し、アセチルコリンという物質に変わります。アセチルコリンは神経伝達物質とて、健康番組では既におなじみの物質かと思います。
そればかりでなく、コリンは細胞膜を構成するレシチンの原料にもなります。レシチンは体脂肪を燃焼させ、認知症予防や改善への効果が確認されています。大豆にも含まれています。
このような多岐な機能から、コリンは近年、アルツハイマーの治療薬として期待されている物質でもあり、この成分は大豆の2倍もの量が含まれています。

■終わりに

「卵を食べるとコレステロールが溜まる」という話は、本来卵を食べないウサギに食べさせ、計測した結果だそうです。その話があたかも人にも共通であるような誤解をされているのは、非常に残念な事です。
卵は食べてもコレステロールが溜まらないばかりか、体脂肪を落とし、認知症の予防にすら期待が持てる食材です。
老婆心ながら。
卵だけ食べてもより健康になり、ダイエットに繋がるわけではありません。本当の健康は、バランスの良い食事と適度な運動からなる事を、忘れないで下さい。

2007年2月掲載

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