Dr.神津の健康倶楽部

これまでは、病気にかかったら病院に通う、薬を処方してもらう・・・と病気の治療が重要とされていました。しかし、原因のわからない病気は未だ多く存在し、病気の治療から予防へと注目は移り始めています。
病気を予防するには健康な生活を送ることが大切ですよね。
ここでは、「よりよく生きる」ために日々の生活を考えていきます。

[第22回 予防医学のエース“玉ネギ”]

古代エジプトの時代から、ピラミッド建設の労働者のスタミナ源として食され、実際、旧約聖書や千夜一夜物語でも、食用や精力剤にする話のある食材、より正確には野菜、があります。
それは「たまねぎ」です。
たまねぎはユリ科の植物で、原産地はイランだとされています。
日本では明治時代にアメリカから伝わりました。初めは北海道で栽培されていたのが、後、日本の各地で大量に栽培されるようになりました。
今ではどこのスーパーでも、手軽に購入できる野菜の一つです。

■エネルギー源として

たまねぎは野菜の中で最も糖質が多く、そのほとんどがエネルギー源として使われ、疲労回復に重要な役割を果たします。たまねぎを、肉の中でもビタミンB1が多い豚肉と一緒に調理すれば、高い疲労回復効果が期待できるでしょう。

■辛み成分

たまねぎには、独特の辛みと刺激があります。
これは『アリシン(硫化アリル)』という成分です。この成分はたまねぎには豊富に含まれており、切ると気化して目の粘膜を刺激します。たまねぎを切ると涙が出る原因は、この硫化アリルなのです。

硫化アリルは血液をサラサラにし、動脈硬化の原因となる血栓やコレステロールの代謝を促進、血栓を出来にくくする作用があると言われており、高血圧、糖尿病、脳血栓、脳梗塞などの生活習慣病の予防に効果を期待されています。

さらに硫化アリルには、ビタミンB1の吸収を補助する機能があります。これは、硫化アリルとビタミンB1が結合することでアリチアミンとなり、体内にビタミンB1を長く留めることになるからです。ビタミンB1が不足すると、食欲不振、イライラ、不眠、精力減退、疲労などの症状が起きやすくなります。
たまねぎは生で食べる方が効果は高いので、サラダとして食べるのが一番良いようです。しかし、水にさらしすぎると、硫化アリルとビタミンB1が溶け出てしまうので注意しましょう。

硫化アリルの他、たまねぎにはコレステロール値を抑える成分を多く含んでいます。肉食の多い現代の食生活に、たまねぎは重要な野菜なのではないでしょうか。

■たまねぎを食べる時の注意

明治時代から栽培、食用とされてきた野菜ですから、普通の食事として食べる分には、何ら問題ありません。ただ、たまねぎアレルギーのある人がいるので、注意しましょう。
抗凝結剤を使用されている人は、食べる量を少し控える方が良いかもしれません。先にも説明したように、たまねぎには血液をさらさらにする機能があるので、出血リスクが高まる可能性があるからです。

2007年1月掲載

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