Dr.神津の健康倶楽部

これまでは、病気にかかったら病院に通う、薬を処方してもらう・・・と病気の治療が重要とされていました。しかし、原因のわからない病気は未だ多く存在し、病気の治療から予防へと注目は移り始めています。
病気を予防するには健康な生活を送ることが大切ですよね。
ここでは、「よりよく生きる」ために日々の生活を考えていきます。

[第20回 バナナで健康増進]

最近ではどこのスーパーでも一年中見かけられるバナナですが、20年くらい前まで、病気で寝込んだ時にしか食べなかった、食べさせなかった記憶のある方も多いではないでしょうか。
当時を覚えている方にしてみれば、改めて指摘するまでもないでしょうが、お付き合いいただけたらと思います。
今回はバナナの健康効果についての話です。

■脳の活性化に

バナナには独特な甘味があります。この甘みはブドウ糖やショ糖などの糖質によるもので、これらの糖質は即効性のあるエネルギー源です。また、脳が活動する為の重要な栄養素でもあります。
しかし脳内に到る血管には、血液脳関門といういわゆる関所があり、糖分だけではこの関所を抜けることは出来ません。血液脳関門を抜けるには、ビタミンB1やB6、カリウムが必要なのです。
バナナにはこのビタミンB1、B6とカリウムが豊富に含まれているだけでなく、バナナの糖質自体、脳に吸収されやすい形のものです。
アメリカなど西洋の話になります。企業で重要な地位にある人たちの一部が、朝食にバナナを摂るのをご存知でしょうか?
彼らは朝から全力で働けるよう、脳に糖分を効率的に送り込んでいるのです。

■ポリフェノールも含まれている

身体の活動上、どうしても発生してしまう活性酸素。活性酸素は反応性が高いため、身体に侵入した病原菌などの撃退に使われますが、ストレスなどで必要以上に生産され、細胞内のDNAにダメージを与える危険があります。DNAへのダメージは、長期的にはガン細胞化のおそれがあります。
そういった過剰な活性酸素を除去する成分の一つがポリフェノールです。これは赤ワインなどの色素の成分で、果物には普通に含まれています。
バナナも例外ではありません。
それどころか、赤ワイン、緑茶には劣りますが、ブドウやグレーフーフルーツより含有量が多い、という知見すらあります。

■免疫力の向上

活性酸素を減らしてしまうと、病原体の撃退能力が低下してしうので、矛盾した話になりそうですが。
バナナには免疫力向上の効果もあります。動物実験でマウスにバナナジュース他、果物ジュースを静脈注射して免疫力の向上を比較したところ、ある免疫増強剤よりも高い効果が確認されたそうです。
しかもこの効果は抗ガン作用もあるのでは、と注目すらされています。マウス実験で、がん細胞の抑制効果が確認されたからです。

■実はこの成分がバナナの特色

バナナには先に上げたビタミンB1B6、カリウムの他、マグネシウムやセロトニンという成分も大量に含んでいます。
マグネシウムは、骨粗しょう症や不整脈の予防に効果があり、骨が弱くなったお年寄りには、ぜひとも勧めたい食物です。
セロトニンは睡眠の促進や偏頭痛の予防に効果があると言われ、バナナ以外の他の野菜や果物にはほとんど含まれていません。
ビタミン類やミネラル分は、人の体内では生産できない重要な成分です。バナナはこのような場面でも健康の維持に効果があるのです。

■まとめ

冒頭でもありましたが、病気の時にバナナを食べるというのは、決して根拠がなかった訳ではありません。それどころか、身体が必要とするエネルギーを速やかに補給し、免疫力を向上させるという、いわば理にかなった効果的な栄養補給食だったのです。
一年中手軽に購入できて、食べるのに手間がかからず、咀嚼・嚥下が容易な食べ物でもあるため、子供やお年寄りでも安心して食べられる食物です。ましてや、バナナが苦手な人はそういないでしょう。
健康のためにも栄養の偏りのない食事は必須ですが、その中にバナナも1日1本は加えてみたいところです。

2006年11月掲載

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