Dr.神津の健康倶楽部

これまでは、病気にかかったら病院に通う、薬を処方してもらう・・・と病気の治療が重要とされていました。しかし、原因のわからない病気は未だ多く存在し、病気の治療から予防へと注目は移り始めています。
病気を予防するには健康な生活を送ることが大切ですよね。
ここでは、「よりよく生きる」ために日々の生活を考えていきます。

[16回 話題のイソフラボンはだいじょうぶ?]

■内閣府安全委員会の発表

先日2006年5月11日、内閣府食品安全委員会から「大豆イソフラボンの1日での目安摂取量は70〜75mgまで」「食事以外での上限摂取量30mgとする」「妊婦・子供への摂取は推奨しない」という発表がありました。
この発表に驚かれた方は多いのではないでしょうか。
多くの方に知られているように、大豆は栄養価に富む食材で、納豆や味噌を始めとして「健康に良い食材」の代表です。
それなのに、1日の目安摂取量が制限されてしまうとは……。毎日納豆や味噌汁を食される人には、これまでの食生活に疑問を持たれた方もいるかと思います。

■上限値設定の根拠

この度の食品安全委員会の上限値設定をしたのには、理由があります。
イタリアの研究ですが、大豆イソフラボンを毎日150mg、閉経後の女性に5年間服用してもらったところ、月経不順の原因となりかねない子宮内膜増殖症になる人が多いという報告がありました。
このため、大豆イソフラボンの大量摂取が「思わぬ悪影響」を与えかねない可能性が出てきたのです。
「1日の摂取目安量70〜75mg」とは、この報告の150mgの半分を基準として出されたものです。

■大豆イソフラボンとは?

ところで、「大豆イソフラボン」とは何でしょう?
「大豆イソフラボン」は大豆胚芽に多く含まれる科学物質で、女性ホルモンの一つエストロゲンに似た作用を持ちます。大きく分けて2種類、配糖体(糖の結合した状態)と非配糖体(糖の取れた状態:アグリコン)の状態があり、配糖体は腸管内で腸内細菌により非配糖体に分解され、吸収されます。
ところで、実際に吸収されるのは非配糖体のアグリコンのため、「大豆イソフラボン」の数量はアグリコン換算のものを指します。

■大豆イソフラボンの含有量

とは言え、「大豆イソフラボン70〜75mg」とは、食品にしてどれくらいの量なのでしょうか?
商品によりばらつきはありますが、納豆1パックに大豆イソフラボンアグリコン換算で、約30〜40mgが含まれているようです。ですから、1日に2パック食べると、上限目安量を超えてしまう可能性があります。
これは危険なのでしょうか?

■やっぱり大豆製品は積極的に

誤解されては困るのですが、例えば、食べる納豆の量を1日1パックに制限しなさい、というのではないのです。
日常的な食生活において、毎日同じ食品ばかり食べていれば、当然栄養に偏りが起きます。そのような食習慣の方が健康に良くないのはおわかりでしょう。
それに、大豆は脂肪性たんぱく質に富み、肉などと比較すれば脂肪やカロリーが低いので、健康のためにも大豆製品を積極的に摂るのは否定されていません。短期的に目安量を超える摂取をしたとしても、すぐに悪影響は出たりしません。
また食品安全委員会の資料によると、大豆食品からのイソフラボン摂取量というのは、閉経前の女性で半数の人が16mg/日、男女合わせても半数が18mg/日と、目安量を大きく下回っています。
このような事を考え合わせると、普通の食品として大豆製品の摂取を控えるどころか、もっと摂取しても良いのではないのでしょうか。
そう思えます。

2006年7月掲載

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