Dr.神津の健康倶楽部

これまでは、病気にかかったら病院に通う、薬を処方してもらう・・・と病気の治療が重要とされていました。しかし、原因のわからない病気は未だ多く存在し、病気の治療から予防へと注目は移り始めています。
病気を予防するには健康な生活を送ることが大切ですよね。
ここでは、「よりよく生きる」ために日々の生活を考えていきます。

[第13回 ゲルマニウムと健康の関係]

■健康博覧会2006

去る3月22日〜24日の3日間、国際展示場にて『健康博覧会2006』が開催されました。年に2回開催されるイベントで、その都度ニュースでも放映されるようですから、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。
健康産業に携わる多数の企業が出展し、既存商品・新商品を紹介していました。その中でも今回は『ゲルマニウム』関係の商品が多いと感じました。テレビ番組やCMで取り上げられた事が原因のようです。

■ゲルマニウムの能力?

では、健康に良いとされるゲルマニウムには、どのような能力があるのでしょうか。インターネットで簡単に検索してみました。

  • ストレス解消
  • 体質改善
  • 免疫力増強(抗ガン作用)
  • 細胞の活性化(しわ・しみ・そばかすの予防。デトックスにも)

これだけの効能がうたわれ、商品化されています。主な用途は温泉や部分温浴、ブレスレットなどのアクセサリー、一部にミネラルウォーターとサプリメントに使われているようです。

■ゲルマニウムは安全?

まず、実際の効果の有無は別として、ゲルマニウムの安全性は確認されているのでしょうか。
ゲルマニウムを外用、つまり温浴に使用する分には、一説でうたわれているような「体内に浸透する」などということはあり得ませんから、危険はないと考えられます。また、ゲルマニウムのアクセサリーを着けて皮膚疾患を引き起こしたと言う話も聞きませんから、肌に付ける分には安全でしょう。
しかし内用で使用するには、注意が必要のようです。厚生労働省が作成している『「健康食品」の安全性・有効性情報』(1)が参考になるかもしれません。
このサイトによると、ゲルマニウムは「サプリメントとしての経口摂取はおそらく危険と思われ、末梢神経や尿路系の障害を起こし、重篤な場合には死に至ることがある」と記載されています。
事実、1988年と古い記事ですが、ゲルマニウムのサプリメントを大量摂取させられた5歳児が、ゲルマニウム中毒で死亡した事件があります。(2)
普通の食事に含まれる程度の濃度であれば問題なさそうですが、サプリメントなどで濃度を高めたゲルマニウムの摂取には、安全性に問題がありそうです。
外用でなら問題なさそうですが、内用では使用しないのが良いでしょう。

■ゲルマニウム効果の信頼性

では、ゲルマニウムにはどのような健康効果が確認されているのでしょうか。
科学雑誌『Nature』のオンライン版と『アメリカガン協会(American Cancer Society)』のサイトの両方で検索してみました。(3)(4)
全てに目を通してはいませんが、掲載記事のタイトルを見るだけでも、健康とは関係ないと思われる記事ばかりです。抗ガン作用については1文字も見当たりません。このことからすると、ゲルマニウムの健康効果は、どうやら日本独特のもののようです。
もし仮に、ゲルマニウムの健康効果がプラシーボや体験談以上の事実であれば、少なくとも20年近く前から健康効果はうたわれていたのですから、十分な研究時間があったはずです。にも関わらず、具体的な研究報告が挙がっていないのですから、効果面についてもかなり疑わしいものと思われます。

■おわりに

ゲルマニウムの効果をうたった商品は、最近ではどこのドラッグストア、コンビニ、デパートでも取り扱っています。そして一部には、非常に高額な商品もあります。ゲルマニウムの効果を信じて購入するのも良いですが、その商品代金を、別の健康商品に向けられても良いのではないでしょうか。

■参考インターネット

  1. 「健康食品」の安全性・有効性情報:
    http://hfnet.nih.go.jp/
  2. ゲルマニウム健康食品で5歳児が中毒死:
    http://khon.at.infoseek.co.jp/kiji/4.html
  3. Nature:
    http://www.nature.com/nature/index.html
  4. American Cancer Society:
    http://www.cancer.org/docroot/home/index.asp?level=0
2006年4月掲載

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