Dr.神津の健康倶楽部

これまでは、病気にかかったら病院に通う、薬を処方してもらう・・・と病気の治療が重要とされていました。しかし、原因のわからない病気は未だ多く存在し、病気の治療から予防へと注目は移り始めています。
病気を予防するには健康な生活を送ることが大切ですよね。
ここでは、「よりよく生きる」ために日々の生活を考えていきます。

[第11回 よい水とは? 悪い水とは?]

ここ数年、よく耳にするフレーズに、『身体に良い水』というのがあります。どういう水が健康に良いのか考えているのですが、どうも具体的な答えが出ません。『体に悪い水』というのは、『有害である』とイコールでしょうから、おそらく何らかの有害物質が混入している水のことでしょう。
でも、それで言ったら『身体に良い水』とイコールとなるのは、『無害である』になってしまいます。どうもおかしい。それとも、『健康になる』でしょうか? 悩みます。

そもそも、水とは何でしょうか?

中学生の理科レベルの知識ですが、水というのは酸素原子1個と水素原子2個が共有結合した化合物のことです。それらの分子が大量(18g=18mlでは6.02×1023個)に集まったものを、我々は生命維持に飲用しているわけです。一日2Lの水を飲むのだとすれば、6.69×1025個の水分子が体内に取り込まれている計算になります。
もちろん、これは純水の話であって、実際に我々が引用として用いている水には、様々な物質が混入しています。人体に悪影響を及ぼすものが混入しているのが『悪い水』なのでしょう。では、人体への好影響を与えるのが、『良い水』なのでしょうか。好影響・悪影響問わず、人体に影響のある水は、影響が確認された時点で問題だと感じるのですが。

「水道局の水は信用できない」との触れ込みで、さまざまなアイテムが出ています。大別すると浄水器とミネラルウォーターが多いようですね。科学的な根拠が怪しいどころか、似非科学(トンデモ科学)から宗教色を帯びたアイテムが氾濫しています。『活性水素』『波動水』『磁化水』『水クラスター』etc.……。
それぞれの検証はここでは控えますが、どれを飲んでも『健康が向上する』とは到底思えません。触れ込みだけで、根拠のあるデータは出ていませんし、触れ込みの理論も『???』と首を傾げたくなるようなものばかりです。それでも肯定的な体験談はあるわけですから、プラシーボ効果はあるのでしょう。

では見方を変えてみることにします。
一般家庭に引かれている水道水は、『水道法』に基づき水道局が管理しています。それに関する政令の中に「水質基準」というものがあり、その項目は一般細菌から重金属など50に上ります。それに対し、ミネラルウォーターは食品衛生法の清涼飲料水の項目に該当し、規制項目は18しかありません。
『規制項目が多い』から、水道水がミネラルウォーターより『無害である』イコール『体に良い』とは言えないでしょうが、実在するかどうかわからない怪しげな成分を『健康に良い』と称したミネラルウォーターよりは、安心できる気がするのは誤解でしょうか。
しかし水道法は、住宅内の水道管の状態は管理できません。古い家屋でしたら、配管がサビていることもあるでしょうから、フィルターのしっかりした浄水器を使うのも手でしょう。
ミネラルウォーターは嗜好品としてたしなむ程度、生活用水は水道水とするのが、『体に良い水』の使い方だと思います。

2006年2月掲載

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