Dr.神津の健康倶楽部

これまでは、病気にかかったら病院に通う、薬を処方してもらう・・・と病気の治療が重要とされていました。しかし、原因のわからない病気は未だ多く存在し、病気の治療から予防へと注目は移り始めています。
病気を予防するには健康な生活を送ることが大切ですよね。
ここでは、「よりよく生きる」ために日々の生活を考えていきます。

[第10回 エキナセア]

あけましておめでとうございます。今年も『健康倶楽部』をよろしくお願い致します。
さて、12月以降めっきり寒くなり、本格的な風邪が心配になる季節になりました。本当に風邪をひいた時は、専門医の診察にかかる事が重要ですが、予防の意味でハーブティーなどたしなんではいかがでしょうか。
今回は数あるハーブの中でも、エキナセアを紹介したいと思います。

■エキナセアとは

エキナセアは北米原産のキク科の多年草で、3種が存在し(Echinacea angustifolia、Echinacea pallida、Echinacea purpurea)(1)、ネイティブアメリカンが風邪、歯痛、腹痛、創傷感染の治療に使っていた、と伝えられています。パープルコーンフラワー、プルプラワ、ムラサキバレンギクなどの呼び方もあり、花から根までお茶として使われていますが、ハーブティーとして使われるのは主に葉の部分になります。また、サプリメントとしても広く使われており、この用途での部位はメーカーによりまちまちだと思われます。
免疫力向上性があるとの事で、現在でもアメリカ・ヨーロッパなどでは冬季の売れ行き上位のハーブです。また、何年か前には日本のメディアでも取り上げられ、一時的にブームにもなりました。Googleでエキナセアを検索すると、30万件以上がHITすることからも、根強い人気のあるハーブだとわかります。

■でも、本当に風邪予防になるの?

今でも根強い人気とは裏腹に、エキナセアの効果効能を実際にうたえるほどの学術研究は行われていない、もしくは確認されていないのが現状のようです。調べた範囲では、エキナセアには風邪などの上気感染に対する有効性が示唆されている程度しかありません(2)。つまり、風邪やインフルエンザのひき始め、ヘルペスなどの感染症、カンジダなどの真菌症に有効である、というものです(3)。エキナセアには白血球の産生を促進し、抗ウィルス活性を促す作用があるためだと推測されます(2)。実際、エキナセアから抽出した成分には、インターフェロン様の抗ウィルス活性を示したという報告もあります(2)。とは言え、どの属種のどの部位が使用されたのか不明確であり、あくまで有効性が示唆されているだけのようです。
しかもこれらの有効性情報とは対照的に、インフルエンザウィルスに対して優位性は確認できなかった、などの研究報告も上げられています(4)(5)。しかしこの報告はEchinacea angustifoliaの根部を使用してのもので、angustifolia種を含む3種の葉部についての報告でありません。葉を用いての研究報告は、調べた範囲では見つかりませんでした。

■お茶として飲用するにあたって

エキナセアは日本国内では非医薬に該当し、また米国ハーブ製品協会(American Herbal Products Association, AHPA)ではクラス1『適切に使用される場合、安全に摂取することができるハーブ』に該当するので、お茶として使用しても安全だと思われます(2)(6)。
ですが、免疫向上性をうたうハーブにだけに、免疫性疾患の治療を受けている人は飲用を避けるべきでしょう(2)。
これからまだまだ寒い日が続きます。風邪などひかないよう、心がけましょう。

■参考インターネット■

  1. Herbs Rainbear.com
    http://www.herbsrainbear.com/
  2. 「健康食品」の安全性・有効性情報ホームページ:
    http://hfnet.nih.go.jp/
  3. 世界最新!健康とサプリメント関連ニュース
    2005年9月20日付「エキナセアは風邪に効かない?」:
    http://supplenews.com/MT/
  4. Study Gives Echinacea the Cold Shoulder, Medicine Net.com:
    http://www.medicinenet.com/
  5. 東京都薬事監視課:
    http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/yakuji/index.html

■参考文献■

  1. Ronald B. Turner, Rudolf Bauer, Karin Woelkart, et al, An Evaluation of Echinacea angustifolia in Experimental Rhinovirus Infections, The New England Journal of Medicine, (2005) 363, pp341-348
2006年1月掲載

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